あいちトリエンナーレ2019 ③

地域には、地元ならではの文化情報誌があります。私は、1969年創刊の雑誌「C&D」で取材・制作を担当しています。そのひとつが「あいちトリエンナーレ」で、第4回は2019年8月~10月中旬に開催予定です。2017年~‘19年の掲載記事から、心に残ったお話しをピックアップしています。 始まるトリエンナーレ2019との連携企画事業のひとつに、「10周年記念 農村舞台アートプロジェクト2019 アートで蘇るとよたの農村舞台群」があります。 「農村舞台」とは何でしょう?

<C&D173号 2018年夏号 豊田市文化振興財団の永坂正和氏への取材記事より>

舞台から神の力を得て制作する。

農村舞台は、江戸時代後期に農山村や漁村に作られた芸能舞台のことです。娯楽が乏しかった江戸時代の農山村では、お祭りや神事の余興に舞台で催される出し物が唯一の楽しみでした。神社の本殿に対面する〝拝殿形式〟で建ち、奉納という建前で催されていました。 豊田市には、84の農村舞台が残っています。多くは廃絶の危機に瀕していて、2010年に市民プロデューサーの方たちを中心に「農村舞台アートプロジェクト実行委員会」が立ち上げられました。農村舞台という豊田市の文化財を生かして地域を活性化し、その文化情報を市内外へ発信していくことにしました。舞台をギャラリーや劇場に見立て、展覧会やライブを地域住民と共働して開催しています。

私は2017年秋から取材を始めました。まずは、歴史が刻まれた農村舞台の存在感に圧倒され、展示作家たちの表現の深さに感銘しました。こうした感動に出会えるのも、取材者冥利に尽きると思います。

※巻頭写真/藤岡飯野町・秋葉神社の農村舞台にて。現代美術:中谷ゆうこ《Beyond the border》

秋葉神社の農村舞台。舞台を通して鳥居を望む