ポチッとな行動

(日本語メモ帖)

ファイル 2017-10-24 9 47 04 

 

自宅のPCが壊れて買いなおし。富士通のノート型を選びました。

PCを新調すると設定項目が多くて煩わしいですね。

マニュアルを開いて眺めていたら気になった一行がこれ。

 

1 電源ボタンをポチッと押します。

 

もちろん、話題にしたいのは「ポチッと」です。

機能性重視の操作マニュアルであまり見ない情緒的表現だと思います。

 

必要かこの一言。

「電源ボタンを押します」というプレーンな文と比べて、

マニュアルとしての効果はどう違うのか。

 

はじめてPCにさわる人は、電源ボタンの押し加減がわからなくて、

ググっと押してしまうかもしれない。さらには

ギューっと押し込み続けるかもしれない。

ビシビシ連打する人だって、いやそんな人はいませんが。

 

故障の原因になりかねないこれらの行動を防ぐために、

マニュアル作者はどう書くべきなのか。

 

「短く押してください」「軽く押してください」だったら?

やはり加減のわからない人が出てきそうです。

「短く」って1秒? コンマ5秒? 「軽く」って1cm2あたり何グラム?

そこまではいかなくとも、曖昧な感じが残ることも事実です。

 

一方で「ポチッと」は、大多数の日本人が

集合的無意識のように深いところで共有している概念です。

 

言うまでもなく、タツノコプロのアニメ作品、

「タイムボカン」シリーズに登場する、悪者のセリフです。

世代的な事情で、私はこのアニメシリーズをほとんど見たことがありませんが、

その私でさえ、三悪人の一人がつぶやく「ポチッとな」は知っています。

 

多くの日本人は、「ポチッと押します」という情報を受け取った瞬間に

脳内の回路がつながって自動的に「な」を補正し、

無意識のうちに「ポチッとな行動」を起こすものと考えられます。

結果として、押し加減に迷うユーザーを生まず、電源ボタンの故障も抑制される。

 

こう考えると、このマニュアル作者はなかなかの使い手といえます。

さすが富士通、日本品質ですね。よい製品を購入できてよかった。

 

Shoji